【栗の育て方】秋の味覚、クリを家庭で育てよう!失敗しない剪定の仕方と育て方を解説!

秋になると食べたくなる、栗。栗ご飯やモンブランなど、食事やスイーツに登場する誰もが知る果実ですよね。ホクホクとした食感の甘い栗の実を自宅で収穫してみたいと思いませんか?しかし「育て方が難しそう」「狭い庭や鉢植えでも育てられるの?」と不安になる方も多いでしょう。

この記事では、狭い庭や鉢植えでも収穫できる栗の育て方を徹底解説!おいしい栗をたくさん収穫したい方、必見の記事です。


この記事を読んで、「栗」の植栽や剪定、年間管理を業者に依頼したいと思われた方は、お庭手入れのプロである庭師に相談することがおすすめです。

庭革命では、お庭造り・剪定・植栽などの、見積もりを無料相談することができます。その他、お庭・植物に関する悩みがあるお客様も、気軽に利用されているので、この機会に是非一度相談してみてください。

目次

栗とは

栗とは、ブナ科クリ属の落葉広葉樹です。成長すると10m以上になるため、剪定で高さをコントロールする必要があります。

原産国は日本の他、中国やヨーロッパ・北米・朝鮮半島など。日本で流通しているものは、ほとんどが和栗です。花の開花は5~6月で、クリーム色の花を房状に咲かせます。

栗を自宅で育てるのは難しいのでは?と感じるかもしれませんが、根気よく世話をすれば、実をつけてくれますよ。地植えはもちろん、鉢植えでも育てられます。

項目詳細
分類落葉広葉樹
学名Castanea crenata
科属名ブナ科クリ属
開花時期5~6月
収穫時期9~10月
花言葉「私に対して公平であれ」「私を公平にせよ」「贅沢・豪奢」
誕生花6月20日、10月24日

栗の品種は3タイプあり!

一言で「栗」といっても、品種は様々。栗の品種は、収穫時期により大きく分けて3タイプに分かれます。

栗の品種のタイプ

  • 早生
  • 中生
  • 晩生


それぞれの収穫時期の「おすすめの栗」を特長とともにご紹介します。育ててみたい種類の栗があるでしょうか。それでは、次の項目で詳しく見ていきましょう。

早生タイプ(8月下旬~9月上旬)

早生タイプでおすすめの品種は、「丹沢」「高見甘早生」「 ぽろすけ」の3種類です。

「丹沢」は、9月上旬~中旬に収穫できる早生を代表する品種です。決して品質がいいとは言えませんが、若木のうちからよく実をつけます。栗をじっくり育てるというよりは、早く実を収穫したい方におすすめ。


1粒が約25グラムと、やや大きめの「高見甘早生」。9月下旬に収穫できる、品種です。粘質で味がいいのが特徴で、とにかくおいしい栗を育てたい!という方におすすめです。


可愛らしい名前の「ぽろすけ」は、渋皮が剥きやすいのが特徴です。栗はおいしいですが、渋皮を剥くのが面倒に感じることもありますよね。皮むきを簡単にしたい方は、ぽろすけをえらんでくださいね。

中生タイプ(9月上旬~9月中旬)

「ぽろたん」は、渋皮がつるっと簡単に剥けるのが特徴です。電子レンジで加熱するだけなので、皮を剥くのが面倒な方にピッタリな品種でしょう。また、冷凍庫で1~2か月保存すると糖度が2倍以上になるのも、特徴です。

出雲は、実の大きさが約25~30グラムと大きいのが特徴。見た目が良いだけではなく甘くておいしく、どんな環境でも育ってくれる強さがあります。育てやすいため、初心者におすすめの品種です。

晩生タイプ(9月下旬∼10月上旬)

「大丹波」の実は約35~45グラムと大きく、甘さや香りも素晴らしい種類です。火を通すとホクホクして、子どもたちにも喜ばれます。とにかくおいしい栗を育てたい方におすすめです。

「美玖里(みくり)」は、糖度が高いのが特徴です。「利平」は、栗の王様と呼ばれるくらい香り豊かな栗です。「筑波」は、実付きが良いのが特徴。「銀寄(ぎんよせ)」は実の形が扁平で貯蓄性はやや劣るため、収穫してすぐに食べたい方に向いています。

どの栗も料理やお菓子に向く種類なので、調理したい方におすすめです。

栗の実がなるまでの年間作業

いつ肥料を与えたらいいのか、分からない。

肥料は植え付けする際と、春の新しい枝が生える前、そして収穫した後に与えます。

おいしく大きな実をたくさん収穫するためにも、正しく育てることが大切です。栗を育てる前に、植え付けから収穫までの流れを確認しておきましょう。

時期作業内容
12~2月植え付け・植え替え・剪定
2~3月肥料
5~6月開花
4~7月農薬散布
9~10月収穫、肥料

植え付けは12~2月の冬に行います。剪定も、冬の寒い時期に済ませましょう。2~3月に肥料を与え、花が咲いた後は農薬を散布します。収穫は品種によりますが、9~10月頃が適期。収穫したら肥料を与え、12~2月に剪定をします。

このように1年を通して適切な時期に適切な世話をすることにより、大きくておいしい栗の実を収穫することができます。

育てる前に知っておきたい栗の特徴

栗の剪定は、いつでもいいの?

栗の剪定で適した時期は、12~2月の冬です。時期を間違えると、弱らせてしまう恐れがあります。適した時期に、剪定しましょう。

栗は放置しても育ちますが、おいしい実を付けてくれる保証はありません。正しい知識を持ち大切に育てた分、期待に応えてくれますよ。それでは、育てる前に知っておきたい栗の特徴を詳しく見ていきましょう。

剪定の時期は?

栗は落葉樹のため、冬の剪定が基本。12~2月の寒い時期が適期となります。冬は休眠期で、成長がゆっくりになる時期。成長が激しい夏や秋に剪定をすると樹液が出てしまい、大ダメージを与えてしまいます。

また、春に剪定をすると花芽を落としてしまい、実がならなくなる危険があります。そのため、冬に剪定を行うことが大切です。

花芽の分化時期は?

栗の開花時期は雄花と雌花で異なります。栗は1本の木に雄花と雌花が咲き、雄花は6月頃、雌花は5月頃です。枝の先に、房状のクリーム色の花を咲かせます。

栗の花芽の分化時期は、雄花は前年の7~8月、雌花は春に新しく伸びた枝に花芽がつきます。剪定は新しい枝が生える前に、間引いて行うようにしましょう

桃栗3年柿8年?

「桃栗3年柿8年」ということわざを知っていますか?これは、芽が出て実がなるまで、桃と栗は3年・柿は8年の年月がかかるという意味です。「何事も成し遂げるまで、相応の年月が必要」という例えの慣用句となっています。

実際、栗を植え付けてから実がなるまでは地植えだと3~5年かかりますが、鉢植えならもう少し早く収穫できるようです。最低は3年かかるということは、ことわざ通りですね。

受粉樹を植えないと実がならない?(自家不結実性)

栗はひとつの木に雄花と雌花の両方咲きます。必ずしも2種類以上植えなければ実がならないというわけではありません。しかし、受粉しにくいと実がならない可能性があるため、2種類以上の苗を植えたほうが確実に収穫できます

品種同士で相性がありますが、「高見甘早生」や「ぽろたん」は比較的どんな品種にも合います。栗は、風で受粉する風媒花好きな品種にプラスして、高見甘早生またはぽろたんを受粉樹にすることをおすすめします。

丹波栗とは?

「栗といえば丹波栗」と言うほど、よく知られる名称です。しかし「丹波栗」とは、実は品種名ではなく、京都の丹波・篠山地方でとれた和栗のブランド名。一般的に、大きい実で知られ「オウグリ」とも呼ばれています。

代表的な品種は「銀寄」です。過去には「銀由」や「銀善」とも呼ばれていましたが、現在は銀寄に統一されています。

栗の剪定の目的

どんな植物も同じですが、剪定するのには目的があります。大きく分けて以下の3つが挙げられます。

栗の剪定の目的

  • 樹形を整える
  • 枝を透かして日光を当てる
  • 収穫しやすい樹高にする

やみくもに枝を切るのではなく、目的を知ったうえで剪定しましょう。それでは、それぞれの剪定の目的について次の項目で詳しく解説します。

樹形を整える(仕立て)

樹木の剪定の仕方は様々ですが、果樹には適した仕立て方があります。栗は地植え・露地植えともに「変則幹形仕立て」がおすすめ。より多くのおいしい実をつけるためには、自己流で切るのではなく、変則幹形仕立てに整えましょう。

若木と成木の仕立て方とでは少しやり方が違うので、次の項目で詳しく解説します。

枝を透かして日光を当てる

混みあった枝を切り、透かすことで、表面だけではなく奥に生えている枝にも日光が行き渡るようになります。全体に満遍なく日が当たると、健康な枝になり、実付きが良くなります

地味な作業かもしれませんが、透かし剪定は非常に大切。おいしい実を収穫するために、透かし剪定を正しく行い、樹木全体を健康的に育てましょう。

収穫しやすい樹高にする

栗は放置すると、高さ10mにもなる高木です。10mもの大きさになれば、せっかくなった実も収穫することができません。それだけではなく、高い場所の剪定はハシゴからの落下など、危険が伴うことに…。収穫しやすい高さに調整するのも、大切な作業のひとつです。

また、住宅街では電線に当たったり、落ち葉で雨どいが詰まったり、何かと不都合が起きます。家庭菜園の場合は、収穫しやすい高さを維持できるかどうかがカギ。樹高は高くても3mにとどめましょう。

栗の若木の剪定のやり方【実践編】

植え付けてから2年目までの若木は、樹形を整えるための剪定をします。2年目に入ると幹が太くなりますが、太い枝を切るとダメージが大きいので、切り口に癒合剤を塗るなどして樹木を弱らせない対策をしましょう。それでは、若木の剪定のやり方を次の項目で詳しく見ていきましょう。

苗木を高さ60cmで摘芯する

植え付けたばかりの1年目の木は、高さ60cmのところで幹を切りましょう。放置するとそのまま高く大きく成長してしまうため、60cmを目安に摘心します。

摘心することで脇から生える枝に栄養を行き渡らせ、強く健康な木に成長します。

主枝を3本残して切る

脇から枝が生えてきたら、主枝を3本残して切りましょう。枝を少なくすることで強い木に育てます

せっかく生えた枝を切るのはもったいないと思うかもしれませんが、3年後の収穫のために、今は樹形を整えることに集中して枝を切りましょう。

亜種枝を各2~3本残して切る

植え付けてから2年目に入る頃、3本の主枝から何本か枝が生えてきます。これを亜種枝と言いますが、各2~3本伸ばしていきましょう。

亜種枝が3本以上生えている場合は、多すぎるので切り落とします。重なった枝や内側に生えた枝など不要な枝を中心に切り落としてください。

栗の成木の剪定のやり方【実践編】

植え付けてから3年目以降は、太く大きな枝が生えてきます。3年目以降は、実を付けるための剪定になります。樹高も高くなり、細かい枝も多く生えてくるため、少し剪定しにくいかもしれません。しかし、丁寧に剪定を行って、健康な栗を育てましょう。

1~2年目と同じように、太い枝を切った場合は切り口に癒合剤を塗ってくださいね。それでは、3年目以降の成木の剪定のやり方について詳しく見ていきましょう。

透かし剪定を行う

3年目にもなると、春から夏にかけてたくさんの枝が生えるでしょう。不要な枝は透かし剪定をして、風通しと日当たりを良くします。

不要な枝とは、交差した枝・内側に向いている枝・下を向いている枝、枯れた枝などです。透かし剪定を行うことで風通しと日当たりが良くなると、枝に養分が行き渡って実付きの良い株に生長します。また、害虫や病気の予防にもなります。

春に伸びた結果枝の剪定は先端のみ!

結果枝とは、実がなる大切な枝のことです。栗は、春に生えた新しい枝に花芽がつき、やがて実になります。そのため、結果枝を切りすぎると実が付かないので注意してください。

春に伸びた結果枝の花芽を失わないよう、剪定は枝先1/4~1/5ほどの長さまでにとどめましょう

高さ3m以下に維持する

家庭菜園では、樹高3mが収穫しやすい高さです。それ以上高くなると収穫しにくく、剪定も大変。10mにもなると高所作業車が必要になります。大きくても3m以上にならないように、剪定で樹高を維持しましょう。

6年目には、幹を切り高さを調整する「芯抜き」を行います。栗の樹形はパラボラアンテナ型に整えるのがコツです。

栗の育て方

栗を植え付けるために、適切な環境を用意しなくてはなりません。栗の好む環境や植え方、水やりや肥料について、あらかじめ知っておきましょう。

栗の育て方

  • 好む環境
  • 植え方
  • 水やり
  • 肥料やり
  • 病気
  • 害虫

ここからは、栗の育て方について解説します。栗の植え方や肥料の種類など、初めて育てる方はぜひ参考にしてください。それでは、詳しく見ていきましょう。

栗の好む環境

栗は、日光を好みます。庭に地植えする場合も鉢植えの場合も同じように、日がよく当たる場所に植えましょう。方角は、南向きの場所が適しています。

また、地植えする場合は電線に当たらない場所や、近隣の家の邪魔にならない場所を選ぶとよいでしょう。

栗の植え方

地植え・鉢植えともに、12~2月に植え付けましょう。地植えの場合は、深さ50m以上・直径100cm程度の穴を掘ります。鉢植えの場合は、出来るだけ大きな鉢に植え付けてあげましょう。

栗は、水はけのよい場所を好みます。水はけがよくない場所に植え付ける場合は、畝を作って少し高くしてくださいね。

栗の水やり

栗は、植え付けの直後は、水をたっぷり与えてください。地植えの場合は、よほど乾燥しない限りは必要ありません。日照りの続く夏場に与える程度です。

鉢植えの場合は、表面の土が乾いたら鉢底の穴から流れ出るくらい、たっぷりと与えましょう。

栗の肥料やり

肥料は、庭植えの場合は植え付けの際と2月・10月に行いましょう。鉢植えの場合は、植え付けの際と2月・5月・10月に行います。

与える肥料の種類は、有機質肥料または速効性化成肥料がおすすめ。どちらもホームセンターやインターネット通販で手に入れることができます。

栗の病気

栗の病気で特に注意したいのが「実炭そ病」。実炭そ病とは、実が黒くなり腐る病気です。発生した場合は、殺菌用の農薬を使うのが有効です。実炭そ病にかかった実は食べられないため、焼却処分しましょう。

病気にかからないためには、日々の手入れが重要です。剪定で風通しと日当たりを良くし、水はけもよくしてください。

栗の害虫

栗につく害虫には「クスサン」や「クリタマバチ」「クリシギゾウムシ」などが挙げられます。特にクスサンは、葉を全部食べつくしてしまうため、光合成ができなくなり生育に大きく影響します。これらの害虫の卵や幼虫を見つけ次第、集めて焼却してください。

放置すると被害が拡大し、木そのものが駄目になってしまいます。害虫が増えすぎて困るようなら、薬剤を散布するのも効果的です。

【まとめ】栗の木を適切に剪定して、おいしい栗を収穫しよう!

この記事では、栗の剪定と育て方について解説しました。一見難しそうな栗の育て方ですが、ひとつひとつ丁寧に行えば期待に応えて、秋には大きくておいしい実を収穫できるでしょう。

家庭菜園初心者や、これから栗を育ててみたい方は、この記事を参考に、ぜひ、栗の栽培に挑戦してみてくださいね!


この記事を読んで、「栗」の植栽や剪定、年間管理を業者に依頼したいと思われた方は、お庭手入れのプロである庭師に相談することがおすすめです。

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