【秋茄子(ナス)の更新剪定のやり方】最適な時期や育て方・収穫や栽培方法も解説!

秋のナスの美味しさは、「秋茄子は嫁に食わすな」という言葉があるほど。瑞々しく香り高い秋茄子を収穫するためには、夏の間の「更新剪定」という作業が重要です。

今回は、夏野菜の定番・ナスを秋までたっぷり楽しむための育て方や更新剪定のやり方、剪定時期などについての情報を解説します。この記事を最後まで読んで、伸び伸びと育った美味しい秋茄子を収穫しましょう。


この記事を読んで、「秋茄子」の剪定を業者に依頼したいと思われた方は、お庭手入れのプロである庭師に相談することがおすすめです。

庭革命では、お庭造り・剪定・植栽などの、見積もりを無料相談することができます。その他、お庭・植物に関する悩みがあるお客様も、気軽に利用されているので、この機会に是非一度相談してみてください。

目次

秋茄子(ナス)の更新剪定とは?

更新剪定とは?

葉・茎・花を減らすことで、疲れた株を休ませるための剪定。

ナスだけでなく、どんな植物でも花実をつけると株自体が疲れてきます。7月・8月などの夏の間にたくさん実をつけすぎたナスは株が疲れてしまい、秋まで元気な状態を保てません。

そのため、夏時期に更新剪定で葉・茎・花を減らし、ナスの株自体を休ませてあげましょう。更新剪定でナスの株が十分に養分を蓄えれば、秋には美味しい茄子の収穫に期待できます。

秋茄子(ナス)を更新剪定すべき時期

秋茄子の更新剪定の時期は?

7月下旬~8月上旬頃に行います。

ナスが収穫できるのは6月以降です。たくさんの実をつけ続けると、7月下旬頃にはナスの株自体がお疲れモードになってしまうため、草勢が衰えて「なんとなく元気がないような…」と感じるようになったら更新剪定を実施します。

更新剪定から20日~30日程度で再び収穫可能に。更新剪定の後、次第にナスが元気を取り戻す姿は楽しみですね。

秋茄子(ナス)を更新剪定の基本

秋茄子の更新剪定が初めてだと、「まだまだ花・実がつきそうなのにもったいない…」とためらってしまうかもしれません。しかし、ナスに元気を取り戻すための必須作業なので、思い切って実行しましょう。

ナスの実を増やすために必要な作業は、更新剪定以外にもあります。

収穫を増やすため、以下の2つの作業も取り入れましょう。

  • わき芽かき
  • 摘心

どちらの作業も、ナスに限らず、野菜・果樹でも定番の方法です。丈夫な枝・花芽を増やし、収穫力をアップを狙えます。

わき芽かき

ナスの葉の根元から小さな芽が出てきます。これが「わき芽」です。このまま育てると枝が次々増えて、株が疲れてしまいます。このため「わき芽かき」という作業が必要です。

わき芽かきの作業内容は、このわき芽を摘んで取り除くというもの。主幹(メインの枝)で育てたいわき芽(2~3つ)だけを残して主枝とします。主枝の余分なわき芽は見つけ次第摘んでいきましょう。ハサミを介して病気になってしまう可能性もあるため、指でかき取るのが基本です。

主枝2本仕立て・または3本仕立てにすることで、栄養が効率的に全体に行き渡ります。初心者の方は、バランスの取りやすい3本仕立てにするのがおすすめです。

摘心

摘心とは、枝・葉・花実を増やすための園芸手法です。摘心の繰り返しによって、大量の実の収穫を狙えます。

ナスの主枝にできたわき芽を育てると側枝になります。側枝がある程度生長して、花芽とその上に葉がついた頃が摘心のタイミングです。花の上に葉を2~3枚残した状態で、その先の枝を切りましょう。切ったときの刺激によって、新たなわき芽が生まれます。

主枝のわき芽かきとは逆に、側枝では摘心をくり返して枝を増やしましょう。適度な摘心は、日当たり・風通しも良くなり、病害虫予防にも繋がるので、ぜひ継続的に実施してくださいね。

秋茄子(ナス)を更新剪定のポイント

初めて更新剪定する方にとっては、どこをどうやって切っていいか不安なものですよね。

ここからは、秋茄子を収穫するための更新剪定のポイントを解説します。

更新剪定のポイント

  • 切り戻して株の丈を低くする
  • 元気なわき目を残す
  • 根切りで新しい根を増やす

上記の更新剪定だけでなく、根切りや追肥も併せて行いましょう。順に説明します。

3本に仕立てた枝を1~2節残して切り戻す

更新剪定は、まずは株の丈を低くすることから。主幹から主枝3本が分かれている状態を3本仕立てと呼び、初心者におすすめの仕立て方です。

3本仕立てにした主枝のうち、元気のない枝・なり疲れの枝を選んで切り戻しましょう。切り戻すポイントとして、枝の根本から1~2節残します。元気がありそうな枝は、切らずに残しておきましょう。

1~2節残して切る際、「こんなにたくさん切って大丈夫なの?」と心配になるかもしれません。しかし、ここで大胆に剪定して株を休ませることが大切です。枝に葉が2枚以上残っていれば復活して、20~30日後には再び収穫可能になります。

伸びすぎているものや不要な枝を正しく判断し、しっかりと剪定していきましょう。

下方に元気なわき芽が出ていたら、取らずに残す

剪定の際、主幹(メインの枝)に元気なわき芽ができていた場合は、残しておきましょう。

特に2本仕立てにしていた場合は、このまま育てることをおすすめします。剪定で古くなった枝葉がなくなった分、新しい元気な枝になってくれるはずです。

根もスコップなどで根切りをして新しい根を発根させる

根切りとは?

古くなって根を切る作業。根切りによって新しい根が生まれます。

根切りはスコップや移植ごてを利用しましょう。根本から30cm程離れた箇所を狙って、垂直で深く刺して切断します。プランターや鉢植えで育てている場合は、鉢の縁まわりを何か所が刺して完了です。

根切り作業の後は、肥料を与えます。スコップ等を刺した隙間から液体肥料を入れましょう。株元から少し離れた場所に肥料を与えるのがポイントです。

根切り作業の後は、肥料を与えます。スコップ等を刺した隙間から液体肥料を入れましょう。株元から少し離れた場所に肥料を与えるのがポイントです。

肥料は多ければいいというものではありません。逆に少なすぎても効果を発揮できないので、適切な量を使用してください。

秋茄子(ナス)の育て方

更新剪定だけでなく、秋茄子がしっかり収穫できるまでの全体の流れも知っておきたいですよね。

ここからは、秋茄子の植え付けから、栽培方法・お手入れの仕方まで解説します。

植え付け

更新剪定によって秋に再収穫する方法もありますが、夏に苗を植えて秋に収穫する「秋採りナス」の苗も販売されています。

秋採りナスの代表品種として「秋なすび」「千両二号」などが有名です。苗を植え付けてから45日程度で収穫可能となるため家庭菜園でもおすすめ。その後の収穫期間が長く、たくさんの秋茄子を堪能できます。

植え付けで押さえておきたいポイントは以下です。

  • 栽培時期
  • 連作障害
  • 好適土壌pH

上記にポイントについて、順に解説します。

栽培時期

予定・カレンダー

種まきから育てる場合は6~7月(関東の場合)に。20~30℃の環境下で、6~8日で発芽します。

苗の植え付けは8~9月です。秋ナスの苗は、高温・低温にも強いため、初心者も安心してチャレンジできますね。

品種や地域によっても差があるため、ホームセンター等店頭で購入する際は表示も確認しましょう。

連作障害

連作障害とは?

同じ場所で同じ科の野菜を作り続けると、土壌バランスが崩れて生育不良となり、病気になりやすくなります。

秋茄子の場合、同じナス科・ウリ科の植物に要注意。ピーマン・ジャガイモ・トマト・シシトウ・スイカ・キュウリを育てた場所では、4~5年は植えられません。十分な期間を空けてから植えましょう。

好適土壌pH

秋茄子を育てる土壌の最適pHは6.0~6.5程度。土壌酸度をアルカリ性に調整するためには、有機石灰や苦土石灰を土に混ぜます。これらはホームセンターや園芸店で購入しましょう。

土を安定させるため、土壌pHの調整は植え付けする2週間前までに終わらせます。畑ではなく、プランターや植木鉢で育てる場合は、野菜用の土を購入するのもおすすめです。

栽培方法

秋茄子の栽培には種まき・苗の植え付けの2つの方法があります。初心者は簡単な苗から育て始めてみてはいかがでしょうか。

ここからは、以下の手順について紹介します。

  • 種まき
  • 間引き
  • 土づくり
  • 植え付け

秋茄子は植えてから収穫まであっという間なので、手軽に楽しみましょう。

種まき

種まき時期は6~7月です。野菜用培養土を入れた植え付け用ポットに、指で1cm程度の穴を開けて種を植えましょう。次の肯定で間引きするため、1つのポットに3つ植えて大丈夫です。

20~30℃の環境で管理すると、6~8日程度で発芽します。

間引き

芽を摘む

芽吹いた苗を育て、葉が2~3枚まで生長したら間引き時期です。元気のない葉や育ちの悪いものを探す必要があります見つけたらハサミで切って、間引きましょう。

1つのポットにつき1株になるまで間引いて、一番元気なものを植え付けます。それぞれの株をしっかりと見極め、元気なものも判断しましょう。

土づくり

秋茄子栽培の決め手は土づくり。植え付けの2週間前までに土壌pHを調整します。

秋茄子の生育に適しているのは、日当たり・水はけの良い場所です。1㎡(深さ10cm)当たり100~150gを目安に、有機石灰や苦土石灰を土に混ぜておきます。植え付け1週間前には、堆肥・化成肥料を撒き、畝を作りましょう。

プランターや植木鉢で育てる場合は、ホームセンターで野菜用の土を購入すると簡単です。

植え付け

植え付け

植え付け時期は8~9月の夏真っ盛り。葉が6~8枚に育った苗を植え付けます。地植えの場合は、株の間は50cm程離しましょう。

暑い時期の植え付けだからこそ、暑さによる乾燥・水切れは危険です。植え付け直後は苗が根付くようたっぷりと水を与え、その後も水切れしないように注意を払います。

鉢植えやプランターで育てる場合は、深さ30cm以上のサイズを用意しましょう。直径30cmの植木鉢なら1株を、プランターなら2株が適切です。植え付け後は仮支柱を用意して支えてあげます。

手入れ方法

植え付けの後も、たくさんの秋茄子収穫を目指すなら、お手入れは欠かせません。

以下のお手入れ方法について解説します。

  • 水やり
  • 支柱立て
  • 追肥

また、前半で紹介したわき芽かきも必要な作業です。一番最初に咲いた花のすぐ下のわき芽だけ2つ残し、その他のわき芽は取り除いていきましょう。

水やり

水やり

地植えの場合は、雨が降らない時期は土が乾いてきたらたっぷりと水を与えましょう。

プランターや鉢植えの場合は、土の表面が乾燥してきた時がタイミング。鉢底から水が漏れ出るまでしっかりと与えてください。

真夏は日照りで乾きやすいため、毎日給水が基本です。ただし、他の植物と同じく、炎天下での水やりは株が傷むため厳禁。朝夕の涼しい時間帯に行います。

支柱立て

秋茄子の植え付け後、茎が曲がらないように仮支柱を立ててあげましょう。根本から5cmくらい離したところから細い棒を斜めに差し、棒と苗がクロスする形にして麻縄などで固定します。

大きく育ってきたら本支柱に交換しますが、最初から本支柱でもかまいません。

長さ1.5mくらいの支柱を根本から10cm離して垂直に立てます。秋茄子は3本仕立てなので、側枝にも支柱が必要です。

追肥

肥料

植え付け後は、2~3週間に1回の頻度で追肥を施します。秋茄子は生育期間が長い分、肥料切れに注意が必要です。1株につき、化成肥料50gを与えます。

草勢が弱っていると感じたら、即効性の化成肥料を使いましょう。

秋茄子(ナス)の収穫時期

秋茄子の収穫時期は?

苗の植え付けから45日程度で収穫可能になります。

品種にもよりますが、秋茄子は生育期間が長く、収穫も長期間です。

同時にたくさんの実がついている場合は、「なり疲れ」の状態になって育ちが悪くなります。間引きも兼ねて早めに収穫しましょう。

秋茄子(ナス)で注意すべき病害虫

秋茄子で注意すべき病害虫とは?

病気ではうどんこ病、害虫にはニジュウヤホシテントウ・アブラムシ・ナスノミハムシがあります。

秋茄子を元気に育ててたくさん収穫するには、病害虫にも気を使いましょう。病害虫によって葉にダメージを負うと、光合成ができません。

ここからは、秋茄子で注意したい病気と、害虫対策について解説します。

病気:うどんこ病

うどん粉病

うどんこ病はカビが原因。葉が白い粉をかけたように斑になります。1ヶ所発生すると、周りの葉にも浸食し、カビによって光合成できません。結果、株全体が弱ってしまいます。

予防策として、剪定や摘心で十分な日当たり・風通しを確保します。葉が密集して蒸れないように、株の距離を十分に開けて植えましょう。

うどんこ病になった葉をみつけた場合は、被害が広がる前に取り除いてください。重曹や食酢を使った殺菌スプレーも有効です。

虫:ニジュウヤホシテントウ

オレンジ色に黒い斑点のテントウムシです。通常のアブラムシを食べるテントウムシと違い、秋茄子の葉を食い荒らすため、発見次第取り除きましょう。トゲの生えた黒い幼虫を見つけたら、ニジュウヤホシテントウの幼虫かもしれません。

通常のテントウムシは、アブラムシを食べてくれる益虫です。もし見分けがつくのであれば、そのままにしておきましょう。

虫:アブラムシ

アブラムシ

葉・茎に大量につくアブラムシは、秋茄子の水分を吸ってしまいます。草勢がなくなり、十分な生長の阻害になるため、発見次第駆除しましょう。

アブラムシの取り方は物理的な方法です。ガムテープでくっつけて取るか、こすって落とします。ガムテープは粘着力が強すぎると、秋茄子の茎・葉の表面を傷めてしまうため、粘着力の弱いものを使用しましょう。

虫:ナスノミハムシ

スイカの種にも似た黒い艶のある害虫です。成虫は秋茄子の葉を食い荒らし、ボロボロにしてしまいます。

発見次第、ガムテープで駆除するのが通常の対策ですが、大量に発生したい場合は薬剤を使用しましょう。

ナスノミハムシは6月に発生するため、網目1mmの防虫ネットを株にかぶせておくと予防できます

まとめ:正しい更新剪定で美味しい秋茄子(ナス)を食べよう!

夏から秋までナスの収穫を楽しむには、正しい更新剪定が大切。大胆なくらい切らなけばならないため、剪定が初めてという方には不安も大きいものです。

しかし、数枚の葉と根がしっかりしていれば大丈夫です。剪定前よりも元気を取り戻した秋茄子に生長するので、思い切って挑戦してみましょう。

それでも自信がない場合は、植木屋などの専門家に相談してみるのもおすすめです。プロのアドバイスで、よりたくさんの美味しい秋茄子が収穫できるかもしれませんよ。まず最初の剪定だけ教えてもらえば、次は自信を持って作業できそうですね。


この記事を読んで、「秋茄子」の剪定を業者に依頼したいと思われた方は、お庭手入れのプロである庭師に相談することがおすすめです。

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