造園業の下請けとは？元請けとの違いや働き方、求人募集について解説

造園業で独立開業直後は、収入安定のためにも「下請け」は重要な仕事と言えます。特に、商業施設や集合住宅の造園工事の多くは、下請け会社によるものです。

この記事では、造園業の下請けと元受けの違い、下請けの具体的な働き方や、下請けのメリット・デメリットを解説します。

下請けとは

下請けとは？

A社が仕事を引き受け、その仕事の一部またはすべてをB社が引き受けることです。

大企業と中小企業、中小企業と小規模企業の間で行われるもので、大企業の製造の一部門を下請け企業が担っていることもあります。大企業にとってはコストを抑えることができ、下請け企業にとっては安定した収入を得るための手段の一つです。

元請けとの違いは？

下請け・元請けは、その業務を誰から請け負うかで異なります。

大企業(発注者)がある業務を発注し、中規模の企業が受注します。直接受注した企業・個人が「元請け」です。

元請けから、さらに他の会社が仕事を引き受けることを「下請け」と呼びます。大規模な仕事の場合は、元請け企業から、取引のある企業数社に業務を振り分けて、下請けとして発注することもあります。発注元と下請けは直接の取引はありません。

造園業では元請けと下請けどちらが多い？

造園業界においては、下請け企業が多い傾向にあります。ビルや集合住宅、商業施設でも、建物がメインで造園部分はサブという扱いです。このため、造園業は下請けが多くなります。

例えば、建設会社が建物・外構・その周辺を一括で元請けとなり、外構部分や舗装工事を1次下請けへ出します。1次下請けから、緑地部分を造園会社にさらに2次下請けに出すという流れです。

造園の下請けの働き方とは？

造園業で独立開業後、他に従業員を持たず「一人親方」として活動している人も多くいます。

独立後はまだ既存の顧客も少ないため、取引のある造園業者や独立前に在籍していた業者などの下請けとして働くパターンがほとんどです。

元請け企業からの無理な要求でブラック化しやすいとも言われていますが、近年は下請け企業を守るための法整備と改善が進んでいます。

下請けで働くメリット3つ

下請け＝元請けからの搾取ではありません。造園業で一人親方として活躍する多くの職人が、下請けとしてキャリアを積み、次の仕事へと繋げています。

ここからは、下請けで働くメリットについて知っておきましょう。

①営業しなくても仕事がもらえる

独立開業したばかりの頃は、まず仕事がありません。チラシや広告を打つ資金も乏しい分、自分で飛び込み営業をかけるかホームページで集客を狙うことになりますが、実際に仕事が入って来るまでにある程度期間が必要です。

下請けは自分で営業をしなくても仕事・収入を確保できます。比較的大きな造園業者の下請けとなければ、仕事量・収入はある程度の安定に繋がるのです。

②業務内容や契約金額などの交渉を省ける

体を動かすことや技術面には自信があっても、営業や交渉が苦手という職人も少なくありません。独立開業後、自分で営業をする場合は仕事の内容や金銭交渉も必要となります。

しかし、下請け業務の場合は面倒な交渉事は不要。元請けからの条件の提示によって、請けるかどうかを決めるだけです。

③一定の仕事量を確保できる

元請けとの繋がりができれば、定期的に仕事を回してもらうことも可能です。一定の仕事量を確保できるので、「仕事がない」という不安もありません。下請け作業が終わる頃まで収入を確保できるのもメリットです。

独立したばかりの頃は下請けをメインに活動し、個人で営業をかけ、徐々に顧客を増やしていくというやり方もあります。

下請けで働くデメリットは？

「下請けいじめ」という言葉があるほどなので、下請けにいいイメージを持っていない方もいるかもしれません。

メリットがあればデメリットもあります。両方の面を理解し、デメリットを極力減らすように活動していきましょう。

元請けの業績次第で仕事に影響が出る

元請け企業の景気が悪くなると、下請けへの仕事が減る・報酬が減るなどの影響も大きくなります。

リスクヘッジのためにも、特定の元請け企業1社とだけ取引するのではなく、複数社と取引をするか、自分で営業をして庭仕事の顧客を増やしておきたいものです。

仕事が打ち切られる可能性がある

前述の元請け企業の業績悪化によっては、仕事が減るどころか無くなり、最悪の場合は契約を打ち切られるというリスクもあります。

また、元請け企業の担当者との関係によっても、仕事の打ち切りはあるかもしれません。独立開業する以上は、ある程度の対人スキルや交渉能力は必要と言えるでしょう。

金額などの取引変更が難しい

下請けは元請けから提示された条件の取引となるため、価格交渉は難しくなります。悪い言い方になるものの「元請けの言い値で仕事をする」という状態です。

取引が長く、十分な信頼関係ができている元請けであれば、価格交渉もできるかもしれません。タイミングや相手を間違えると「じゃあ他の職人に依頼します」と、仕事を失う危険もあります。

地道な営業で個人受注の仕事を増やす他、外構工事などのできる業務を増やしたり、資格取得によるスキルアップをしたりで、自分の職人としての付加価値を上げていきましょう。

元請け会社に転職する方法はある？

「造園業界に転職したいけれど、入社したら実は下請けだった」「下請けとしてある程度キャリアを積んだので、元請け会社に転職したい」という方もいることでしょう。元請け会社に転職する方法として、まずは転職のマッチングサイトや求人情報をチェックしてみましょう。

元請け会社はある程度規模が大きく、現場を管理するための造園施工管理技士・土木施工管理技士・造園技能士などの有資格者を募集しています。転職を目指して、資格取得のための勉強をするのも良いでしょう。

まとめ：下請けのメリット・デメリットを理解して働き方を考えよう

造園業は下請けの比率が高い業界です。メリット・デメリットを理解して働き方を考えましょう。

「下請け」は悪いイメージもありますが、元請け会社と良好な関係が続いていれば、営業しなくても安定した仕事・収入を得られるメリットもあります。逆に、元請け会社の景気に仕事量が左右されやすく、金銭交渉が難しいというデメリットも知っておきましょう。

独立当初は下請け仕事で実績を積み、広告やホームページのWeb集客で徐々に顧客を増やす戦略も有効です。