植木屋のフランチャイズとして独立するには？研修や業務内容、注意点をまとめて解説

「植木屋になるのは難しい？」「最短で植木屋になれる方法はある？」このような疑問を持たれている方におすすめなのが、フランチャイズで植木屋デビューする方法です。植木屋は長年の経験が必要だから、簡単にはなれないと思っている方も多いでしょう。しかし、最近は植木屋業界もどんどん変わってきているのですよ。

植木屋は技術職と言われますが、サービス業でもあります。熟練の技術よりも、笑顔や親しみやすさ、丁寧な接客が求められることも多いです。フランチャイズの研修では、サービス面での教育もあり、一定の評価を得ています。

そこで今回は、植木屋のフランチャイズとして独立するにはどうしたらいいかを、メリットデメリット含め解説していきます。植木屋に興味がある、植木屋を目指しているという方は、ぜひ最後までお付き合いください。

そもそもフラインチャイズとは

フランチャイズとは、事業に必要なノウハウや営業形態、商品などを本部から提供してもらい、加盟店として本部が持つ商標を名乗り店舗を運営する業務形態のことです。多いのが飲食店やコンビニエンスストアで、ほかにも清掃サービス業や中古買取店、リラクゼーションサロンなど、業種は多岐にわたります。

フランチャイズのシステムでは、本部から開業および営業に必要なものを提供してもらう代わりに、加盟店はロイヤリティ（対価）を払うことで相互関係が成り立っています。ロイヤリティは、売上から一定の割合を支払うシステムや、毎月定額のところもあり、企業によって様々です。

事業を起こす場合、開業資金や宣伝費など、まとまった資金が必要になります。フランチャイズで独立する場合ももちろん資金は必要ですが、ある程度準備された状態で始められるので、開業資金は少なく済むことも特徴です。宣伝費も本部が持ってくれたり、そもそも全国展開して名の通った業種であれば、認知度が高い状態から始めることができます。

フランチャイズは、独立までの期間が短く、参入障壁が低いビジネススタイルと言えるでしょう。

未経験でも研修を受ければ植木屋（造園業）になれる？

剪定や植栽、造園などの経験がなくても、フランチャイズ本部の研修を受ければ、植木屋（造園業）を開業することができます。植木屋として独立する方法は、これまではベテラン職人の弟子になり、何年もの経験を積む必要がありました。もちろん、この方法で修業を積んでいる庭師も大勢いますが、最近では植木屋のフランチャイズでの全国展開も増えています。

ほかの業種のフランチャイズと同じく、経営ノウハウや技術を学べば独立開業も夢ではないのです。また、植木屋は基本的には依頼主のもとに出向いて仕事をするので、広い店舗を構えたり商品を仕入れる必要がありません。そのため、運転資金が少なくすむので、取り組みやすいとも言えるでしょう。

フランチャイズの植木屋の年収はどのくらい？

フランチャイズの植木屋の年収は、頑張れば500万円、さらに高みを目指せば1,000万円を超えることも可能でしょう。

通常の個人邸の手入れや造園でも、件数次第では500万円は到達しやすいラインです。さらに、公共の公園や街並みの整備などの事業に携わることができれば、600万円以上も視野に入ってきます。

最初は一人親方でも、従業員が増え業務範囲が広がれば、1,000万円を超える企業への成長が可能です。そこまで行くには、業務に対する姿勢や努力、様々な工夫も必要になります。

難易度の高い作業を受けられるようになったり、定期メンテナンスでリピーターを増やしたり、少しずつ成長していくことで年収もおのずと上がっていくでしょう。

フランチャイズの植木屋になる3ステップ

フランチャイズの植木屋になるには、次の3つのステップで進んでいきます。

さらに詳しく解説していきます。

①初期費用を準備する

フランチャイズの植木屋として開業するには、初期費用が必要です。金額としては、加盟店を募集している企業によってまちまちですが、およそ50～300万円程度になります。安いからとか高いからとかではなく、企業の方針や仕組みによる差なので、先々のことも考えて納得できる企業を選び、資金を準備しましょう。

初期費用として必要になるのは、フランチャイズの本部に加盟するための加盟金や、知識や技術を身に付ける研修費です。さらに独立する時には、造園業に必要な道具一式、店舗物件の取得、看板設置費、車両費などがかかってきます。

道具類や車両は、最初はリースが便利です。割賦で購入できるシステムもあり、それによって初期費用が異なります。初期費用の金額によって、どのくらい準備まで時間がかかるかも変わるので、事前にしっかり調べておきましょう。

②協力業者を募集している会社で研修を受ける

初期費用が準備できたら、フランチャイズの協力業者を募集している会社で、植木屋になるための研修を受けます。研修内容は、見積もり作成や営業方法、事務処理などの座学と、剪定をはじめとする技術の実技です。

実技では、実際の現場に赴き作業の手順を学ぶなど、実地研修となります。開業前の研修は、早くて1週間程度で終えることができ、その後に開業となります。

③フランチャイズとして業務を開始

研修が終わったら、いよいよ開業です。作業現場は本部の営業からの紹介となるため、開業しても仕事が入らないとはなりません。営業活動は本部が請け負ってくれるところがほとんどなので、現場作業に集中し技術の向上に努めることができます。

フランチャイズとして加盟店になる時は、会社単位もしくは個人での契約となります。植木屋専業として開業する方法だけでなく、すでに行っている事業とは別に植木屋を始めるケースも。スーパーマーケットや新聞販売店などが顧客サービスの一環として取り入れたり、不動産管理業が自社物件の庭や空き地のメンテナンスで活用したりと、異業種参入も多いです。

個人の場合は、未経験からフランチャイズで開業するだけでなく、本部の社員として経験を積み、自信がついたら独立する方法もあります。独立までに期間がかかりますが、給料をもらいながら学べるので、資金が足りない方や即独立に自信がない方におすすめです。

植木屋のフランチャイズを開業するメリット3つ

植木屋を、単独ではなくフランチャイズで開業するメリットは、3つあります。

それぞれ詳しく解説していきます。

①ブランド力があり集客がしやすい

フランチャイズでの経営は、すでにあるブランド力を利用した集客がしやすい点が、一番大きなメリットでしょう。植木屋のフランチャイズチェーンのひとつに「oh庭ya」がありますが、植木屋を調べていて名前を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

加盟店は、親企業の看板で仕事を請け負うことができます。開業したてでも高い知名度でスタートできる点では、アドバンテージが高いのは当然です。

植木屋のフランチャイズでは、営業や集客もすべて本部が行うパターンが多いです。集客には、インターネットでの情報発信やTVCM、チラシ配布など様々な方法があります。個人では難しい広告宣伝も、本部が統括して行うので集客に頭を悩ます必要がありません。

②サポート・研修制度が充実している

サポートや研修制度が充実している点も、フランチャイズで開業するメリットです。開業前に基本的な研修はありますが、植木屋の業務はそれだけで賄えるものではありません。長年の知識や経験が必要なこともあります。そのため、独立後のフォローアップとして、定期的に技術研修を受けられるサポート体制が整っていることがほとんどです。

開業後もすぐに独り立ちするのではなく、数日間は本部スタッフが同行してサポートしてもらえたり、作業工程に不安な現場があったら事前に研修を受けてから作業に臨むことができたりと、しっかりバックアップしてもらえます。

悩みや不安などを相談しやすいのも、フランチャイズの強みでしょう。失敗のフォローやクレーム対応なども、基本的には本部が行ってくれます。ひとりでは解決できないことも、万全なサポート体制があれば安心して業務を進められます。

③資材を安く仕入れられる

造園などに必要な資材を安く仕入れられる点も、フランチャイズ加盟のメリットです。多くの加盟店を持っているフランチャイズ本部は、各加盟店に卸すために大量の資材が必要になります。そのため、問屋から直接仕入れをしますが、数が多い分お値打ちに仕入れることが可能です。

加盟店はその恩恵を受けることができるので、ホームセンター等で購入するよりも安価で仕入れができます。仕入れが安ければその分経費を抑えることができ、売上アップにもつながるのです。

フライチャイズにデメリットはある？

植木屋のフランチャイズのメリットを紹介しましたが、もちろんデメリットもあります。植木屋をフランチャイズで開業するデメリットは、次の3つです。

どういうことか、解説していきます。

強みをアピールしづらい

フランチャイズは独自性が出せないため、強みをアピールしづらいのがデメリットです。フランチャイズ本部は、ノウハウや商標などをパッケージにして加盟店に提供します。加盟店は、そのパッケージを利用して顧客に提供することが義務です。

本部が指定している内容を変えることはできず、もっとサービスを増やしたいなど勝手なことはできません。独自の強みや得意なことがあっても逸脱して提供できないので、パターン化された中での活動に限られるのはやむを得ないことです。

ロイヤリティを取られる

独立した植木屋であれば売り上げはすべて自社のものですが、フランチャイズの加盟店は一定金額をロイヤリティとして本部に払う必要があります。売り上げがなかなか伸びない店舗では、ロイヤリティが足かせになるでしょう。

ロイヤリティの支払いがない企業もありますが、その場合は業務委託契約になっています。ロイヤリティは売り上げから一部を支払うものですが、業務委託は売り上げを一旦本部が回収し、後から業務委託費として加盟店に支払われるシステムです。

どちらにしても、ノウハウや商標を利用している対価を支払っているかたちになるので、売り上げすべてが自社の利益になるわけではありません。

本部の指示に従う必要がある

加盟店は本部とフランチャイズ契約をしているので、常に本部の指示に従う必要がある点もデメリットになり得ます。植木屋を運営していくうちに、ルールとは違うやり方の方がいいのではと思うこともでてくるでしょう。しかし、フランチャイズである以上は、従うしかありません。

地域で名前が知れ渡ってくると、直接依頼の声が掛かることもあるでしょう。しかし、依頼窓口が本部一括の場合は、勝手に依頼を受けることができません。事業の運営に関してはすべて従う義務があるので、そういった意味では自由度が低いと言えます。

どんな人が造園業に向いている？

最後に、造園業を始めるのにどんな人が向いているのか、条件を3つリストアップしました。

植木屋を始めたいけれど向いているか心配という方は、チェックしてみてください。

外仕事が苦にならない人

植木屋や造園業はほとんどが外仕事のため、屋外での作業が苦にならないことが前提です。植木の剪定や草刈りは真夏の炎天下で行うこともありますし、凍えるような寒さの中で作業することもあります。

最近は、ワークウェアも進化して、暑さ寒さ対策もある程度できますが、それでも過酷な環境であることは間違いありません。長時間、外で作業しても大丈夫な体力や気力が十分にある人が、植木屋や造園業に向いていると言えるでしょう。

細かい作業が得意な人

手先を使った細かい作業が得意な人も、植木屋や造園業に向いています。植木の剪定は、邪魔なところをバサバサ切っていくだけではありません。見栄えよく形を整える必要もあり、植木挟を使って細かく葉先を揃えていく作業は、かなり神経を使う仕事です。

透かし剪定にしても、必要な枝と不要な枝を見極めて、丁寧に透いていく作業になります。造園業では、ブロックを積み上げたり石畳を並べたり、微調整しながら丁寧に進めないと仕上がりに大きく影響します。

作業のスピードは訓練次第で向上しますが、ひとつひとつの作業を確実に行えるかは適性にもよるでしょう。

自然が好きな人

植木屋や造園業は、自然を相手にする仕事です。そのため、自然が好きな人の方が、向いていると言えます。

ノウハウを持っていれば、誰でも植木屋を名乗れます。しかし、植物について詳しくなりたいという気持ちがないと、知識や経験の底上げは難しいです。植物が好きで、手入れをすることで庭がきれいになることに喜びを感じられる人が、植木屋として成長していけるでしょう。

また、自然を相手にする仕事は、いろいろトラブルもあります。植木の剪定をしていたら、スズメバチに襲われたり毛虫に刺されたりなどは、よくある話です。そういったトラブルがあることも心得て挑戦できる人が、植木屋や造園業に向いています。

まとめ：フランチャイズの準備は慎重に進めよう

フランチャイズの植木屋は未経験から短期間で開業しやすく、初期費用も低く抑えられます。個人で始めやすく、サポートもしっかりしているので、参入障壁が低い事業です。しかし、フランチャイズの枠を越えた事業展開ができなかったり、ロイヤリティが必要だったりとデメリットもあります。

植木屋や造園業への向き不向きもあるでしょう。ほんとうにフランチャイズ契約をしても大丈夫なのかは、よく考える必要があります。契約したけれど上手くいかなかったでは、せっかく用意した準備金も無駄になってしまうからです。

今回は、植木屋のフランチャイズについて解説してきましたが、挑戦したい方は資料や情報集めを徹底的に行い、準備は慎重に進めていきましょう。